バラードは君だけに
第6章 僕が保護者になる
湊side
美羽と別れてエレベーターへ乗ったとたん、携帯が鳴った。
それは母さんからで。
「もしもし?」
しかし俺は、母さんの次の言葉を聞いて絶句した。
『海斗が…傷害事件を起こしたのよぉ。これからお父さんと警察に行くわ』
「なんだって…」
ドクッ
数時間前の、海斗の言葉が蘇る。
まさか、本当にやると思わなかった。
俺は地下の駐車場へ一目散に急いだ。
変な汗が背中を伝う。
「っ…」
美羽をそこまで深く愛する海斗の気持ちが、今改めてわかった。
あまりに残酷すぎる。
あまりに悲しすぎる。
海斗も
美羽も
この俺も。