バラードは君だけに
第8章 モテる君
「ほんと可愛いね。まさに僕のタイプだ」
彼は口元に笑みを浮かべ、私の頬を撫でた。
「やめてっ…」
「こわがらないでよ。僕、美羽ちゃんと話がしたいだけなんだから」
私が困っていたその時…
「おい江口っ、何してんだ!美羽から離れろよ!!」
「ふっ、彼氏のお出ましかー。それじゃあまたね、美羽ちゃん」
江口君はすたすたと行ってしまった。
「美羽大丈夫か?あいつに何を言われた?」
「…これから遊びに行こうって」
それを聞いた海斗は激怒した。
「なにぃ!?とんでもないヤツだ。
オレという彼氏がいるのを知ってて誘うなんてっ…」
そう言うと、海斗は携帯で誰かに電話をかけ始めた。
「もしもし。うん今学校なんだけど、美羽を迎えに来てやってくれないかな?うん、変な奴がうろついてて、心配なんだよ」
「海斗?ね、待って。私なら一人で帰れるから…」
私にはそれが湊さんだとわかって、激しく動揺していた。