
バラードは君だけに
第9章 本心
私の家に着いた。
「じゃあ、何かあったらメールして」
「はい」
わかってる…。
私達はメールでしか、やりとりしない取り決めになっていた。それも事務的な事のみで。
湊さんは、保護者としてしか私に向き合っていない。
だから今日みたいに特別な事がなければ、滅多に会えなかった。
「あ、そうだ」
その時私は何を思ったか、カバンの中をゴソゴソ探した。
あった…!
私はそのプリントを、ダメもとで湊さんに渡した。
「これ見て下さい」
「保護者会のお知らせって…何?」
「それはですね、先生と生徒と保護者の三人で、学校生活について話し合ったり、進路のアドバイスを聞いたりするものです」
「ふーん」
湊さんはそのプリントを、じっと読んで考えていた。
「わかった。僕のスケジュールを確認して、また連絡する」
「えっ、来てもらえるんですか?」
「もちろん行くよ」
「…っ」
私はただ驚いていた。
本当の親でさえ来なかったのに…
湊さんはすごい人だと。
