バラードは君だけに
第11章 愛しの君
俺は海斗が座っていた椅子に座り、美羽の顔を覗きこんだ。
「美羽、僕だよ。目を開けて」
そのとき
コンコンとノックの音がして、医師と看護師が入ってきた。
二人に頭を下げると、医師が俺に尋ねてきた。
「あなたも身内の方ですか?」
「そうです」
「うーん、多分美羽さんの摂食障害は精神的なものが原因だと思われますね。何か強いショックを受けた出来事とか、心当たりはないですか?」
「…っ。それは…ありました…」
医師の言葉に愕然とする。
それは俺が一番よく、わかっていたから。