バラードは君だけに
第13章 どんなに遠く離れても
「お先に失礼します」
「美羽ちゃんお疲れさま。明日もよろしく頼むね」
マスターは笑顔で私に言った。
「はい」
店の裏口を出た私は、外で待っていた湊さんにぎこちなく近づく。
湊さんは以前にも増して、素敵な大人の男性(ひと)になっていた。
「…あの、どこかでお茶でもしますか?」
「いや、僕は君のうちがいい」
「そうですか…」
私はさっきから胸の鼓動が抑えられないでいた。
ーーーー
コトッ
「どうぞ」
私はお茶を出し、湊さんとテーブルを挟んで座った。
何から話していいかわからない。
先に口を開いたのは彼だった。
「元気だったか?」
「はい…」
「僕が君を追い詰めてしまったんだ。許してくれ」
「いいえ、そうじゃありません…っ」
「海斗も心配している。あいつは薄々気づいていたんだ。僕と君が想い合っていた事を」
「っ…。海斗にはほんとに、感謝してもしきれないです。彼はどうしていますか?」
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