それは恋のレッスン
第3章 ☆長谷川書道教室
先生の後ろにくっついたまま、おそるおそる見学体験を終え、私はちょっとだけこの教室を選ぼうとしたことを後悔し始めていた。
私からしたら、皆さんの文字は、教室を開けそうなぐらいの達筆で流麗な文字。
先生の話では、先生のおじい様の代からの生徒さんだという。
多分それって、書道歴ウン十年とか・・・そんなレベルじゃないんだろうか。
そんなひと達のなかに混じって・・・なんて、敷居が高すぎる。
「宇佐美さん、珈琲でいいですか」
「あ、はい」
応接間に通され、私は先生から教室のもう少し詳しい説明を受けた。
月謝のこととか、教室に入会すると先生の加入している書道団体に入会することになって、競本を元に書道を学ぶらしい。
毎月定められた課題を提出して、その優劣を競う。競書《キョウショ》と言われるその仕組みは、書道教室では割とメジャーなやり方で、みせてもらった競本にはいろんな文字が載っていて。一冊・・・五百円ぐらいの値段だった。