それは恋のレッスン
第1章 ☆習い事はじめます
* * *
「みーお!どうしたの?浮かない顔して」
「恵美子!聞いてくれる?
今朝、課長から―――っていう事がね、あったの」
給湯室には先に恵美子が来ていた。
恵美子は私の同期である。
営業二課の今日のお茶くみ当番は恵美子のようだ。
たまにこうして給湯室で会うことがあれば、そこは互いに中堅OL。
そんな時は口を動かしながら、手を動かすことも忘れない。
恵美子は、愚痴を言い合える同期の中では数少ない貴重な未婚のお局仲間で親友だった。
うちの課は、全員がブラックコーヒー希望だから、考えなくてもいいのが楽チンで。
私は人数分のコーヒーを淹れながら、今朝の出来事を恵美子に話す。
そうすると、いつものように恵美子は適当に相槌を打ちながら私の話を聞いてくれるんだ。
嫌な事を吐き出せる仲間がいるっていうのは、救われる。……まぁ、あんまり酷い時には一緒に飲みに行くのだけど、ね。