それは恋のレッスン
第1章 ☆習い事はじめます
課長とは事あるごとにこんな感じだった。
私をからかうのが趣味のような課長のことを、恵美子はよく茶化して、“私が溺愛されている”そう、からかう。
でも、それは大きな間違いだと思う。
第一、そんな溺愛ならこちらから願い下げだ。だって働きづらい!
「……習いごと。いいんじゃない?
美緒は飽きっぽいとこあるから、通信教育って性格じゃないものね」
「ちょっ、恵美子、それどういう意味」
「そのままよ。おばあちゃん子な美緒は、甘えん坊だもん。ひとりで頑張る通信教育だと、多分三日坊主なのが目に見えるし」
「ねぇ、…それ、酷くない?」
……確かに意思が弱いですけど。
……一人は苦手ですけど。
両親が早くに亡くなったという不幸な境遇のせいか、私は大らかな祖母に甘やかされ、伸び伸びと育ってしまっていることは…なんとなく自覚している。
そのせいで従兄の結婚が遅れたことは否めないし、だからこその祖母の有料老人ホーム入居だと思うのだけれど。
(私を自立させるのと、従兄の結婚のため)
それをズバっと口にする恵美子も結構酷いと思うな。