
デスサイズ
第1章 Episode 1 断罪者
江角は血を見ることが大好きだった。
まだ幼かった頃。
大人しい性格で将来の夢も無く、何処か冷めた子供だった江角。
そんな彼女に大きな変化を与えたきっかけは1匹のノラ猫だった。
自宅に帰宅する途中、ノラ猫が車に跳ねられる場面に出くわした。
思わずノラ猫に駆け寄り様子を見ると、ノラ猫は瀕死の状態で、その身体からは大量の血が噴き出していた。
─きれい
赤黒い血液を見た江角は心からそう思い、はじめての興奮を覚えた。
夢中でノラ猫の血を見つめ続けた。
猫が息絶えても全く気に止めずに。
それ以来、江角は何度も血を見たい衝動に駆られた。
看護婦を志した理由も、手術中に血が見られるからという不純な動機からである。
だが――
やがて手術中の血だけでは満足出来なくなった江角は、たまたま病院に入院していた警部の平田を誘惑して従え、客の殺害に及ぶようになったのだ。
大量の血を見れるうえ、殺した相手の金も全て奪える。
江角にとってこれ程おいしい話は無い。
