無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

警戒しつつ辺りを見回しても人はおらず、先程まで聞こえていた足音も聞こえない。


しかし、誰かに見られているような得体の知れない不気味な感覚は消えないままだ。


（……ええい、気持ち悪い!! さっさと帰るか！）


一刻も早く恐怖から逃れようと青年は急ぎ足で自宅へと向かう。






ガキィン



足を進めていた青年の目の前に何かが勢いよく横切り、壁に突き刺さった。

驚きの余り、声も出なかった青年が目前に広がるソレが巨大な大鎌である事に気付くのには少し時間がかかった。


「…っ！！？ なっ、なっ、な……!?」


予想外の事態に放心する青年の首を横から伸びてきた手が掴み、壁に身体ごと叩きつける。

「がっ…」

青年の首を掴んでいるのは大鎌を持つ、髑髏（ドクロ）の仮面を着けて、闇に紛れそうな真っ黒のフードを被った…“死神”のような姿の人物だった。