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第1章 Episode 1 断罪者




「何度目だ?」

「は……ぁ?」


質問の意図が解らず、聞き返すが首を掴む力は更に強まる。


「人から金を強奪したのは、今日で何度目だ?」

何だってそんな事を聞くのか青年には理解出来なかったが、ここは大人しく質問に答えておいた。


「た、確か…3回…多分、さ、3度目だ!」


「…そう、3度目だ。自分が犯した罪の数を覚えていた事に関しては褒めてやる。だがな…」


壁に刺さっていた大鎌が引き抜かれ、青年に鋭い切っ先が向けられる。


「お前はやりすぎた。犯した罪に対する罰を受けてもらう」

「!!」


─殺される


直感でそう感じた青年は必死に首を掴む手を引き剥がそうと抵抗するが、全く意味を成さない。


「やめっ…! ば、バカじゃねえの!? たかが、おやじ狩りだろ!? 人を殺した訳でもあるまいし!! 何でこんな事で俺が殺されなきゃなんねえんだよっ!!」

「確かにお前は直接的に人を殺してはいない。だが……最初にお前が金を強奪した相手……ソイツはお前に金を奪われた事によって借金を返済する最後のチャンスを失い、家族と共に心中を図った。そしてさっきお前が襲った男が持っていた金は、血の滲むような努力の末にやっと手に入った難病の妻の手術費用。…直接、手を下していないだけでお前が人を死に追いやったも同然だ。相応の罰は受けてもらう」


半ばパニック状態となった青年は力を振り絞って叫ぶが、青年の言葉に対する返答はあくまでも冷ややかで無慈悲な反応だった。

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