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第1章 Episode 1 断罪者


「や、やだあああぁぁ!!!! た、助けてく…」

命乞いをする青年に向かって、大鎌は降り下ろされ辺りの壁に真っ赤な血が飛び散った。


「くぅ……」

傷口を抑えながら、宛もなく歩く中年の男性。

警察に被害届を出しても金が戻ってくる確率など半分にも満たない。

あらゆる者に頭を下げ、あらゆる物を売りさばいて漸く手に入れた金だったというのに奪われてしまった。


「すまない七笑……すまない……」

涙を流しながら男性は膝をつき、愛する妻へと謝罪の言葉を口にした。



その時



男性の目の前に茶色い何かが落ちてきた。

「こ、これは!?」

まさかと思い、男性が落ちてきた何かを手に取ると、ソレは先程奪われた財布だった。

急いで中身を確認すると、紙幣は1枚たりとも減っておらず奪われた時の状態そのままだった。


何故どうして


理由は解らないが、金は戻ってきたのだ。


これで妻は助かる。


「……ありがとうございます」


空を見上げて感謝の言葉を呟く男性を、遠くから大鎌を持った人物が見つめていた。

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