Sparkling!
第3章 犬も食わない…。
櫻井side
大「よかったあ。このまま目が覚めなかったらどうしよう、って思っちゃった…。」
メイド服姿のまま、目をうるうるさせて俺を見つめる智くん。
ヤバい!!我慢の限界だ。
可愛い天使のような智くんを押し倒そうと、(←最早ケダモノの所業)
手を伸ばしかけた途端、
大「あ、そうだ!!」
何かを思い出したようにすっくと立ち上がった智くんにまんまとかわされ、
顔から無様につんのめってしまう。(←自業自得。)
トレイにヴィンテージものっぽいワインのボトルと、
2つのワイングラスを持って現れた智くん。
俺の目の前にちょこん、と座ると、
再び天使のような笑顔を見せた。
大「これ、僕の生まれた年のワインなんだ。」
あ……!
大「今日、僕の誕生日だから翔ちゃんと2人で飲みたくて。」
そうだ、俺、あの時、何となく飲み足りなくて、
ちょっと隠すように置かれてあった2本のワインのうち1本を空けてしまったんだ。
「ごめん…。」
大「もういいよ。飲も?」
互いのグラスをコツン、と当て、
ゆっくり味わうように喉に流し込む。
大「美味しいね?」
この時飲んだワインの味。
忘れられない味になったことは、
いうまでもない。