テキストサイズ

Sparkling!

第24章 幸せになるために… (s × o )



櫻井side


「おっ、お邪魔します。」



こ、ここが、さっ、智くんの…。



どきどきしながら足を踏み入れる。



大「ふふっ。どうぞ。散らかってるけど?」



コートを脱ぎ、ニコニコ笑いながら智くんが振り返る。



散らかってる、って…



テーブルの隅っこに画材を少し避けてある程度で、


足の踏み場のない、俺の部屋に比べれば散らかってるうちには入らない。



大「適当に座ってて?今食事作るから。」


「えっ!?そ、そう?」


大「お粥だからそんなに時間はかかんないと思うから。」


「分かった…」



でも、俺、病人じゃないんだよなぁ…



でも、いっか。


智くんの作ったお粥が食えるんだし。



「食事が出来るまでこれでも飲んでて?」



そう言って、手渡されたマグカップを受けとる。



その中には、温かそうな湯気が立ち上る葛湯が入っていて、



その湯気を通して、キッチンに立つ智くんの背中を眺めたら、まるで、



恋人を通り越して新婚さんじゃねぇか?





そこへ不意に智くんが振り向き、



「もうすぐできるからね?」




と微笑んだ。





…生きててよかった。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ