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Sparkling!

第26章 蜜月 〜side B〜 ① (S × O)



翔side


智くんが泣いてる…



驚き、体を反転させ、智くんを抱きしめた。



「どうしたの、智くん?どっか痛いの?」



俺の胸に顔を埋めたまま黙って首を振る智くん。




突然、背中に顔を押し付けてきた、と思ったら、グスン、と鼻を啜る音が聞こえて、慌てて寝返りを打った。



顔を覗き込むように問いかけるも顔をあげてくれない。



まともに見てもくれない。


伏し目がちにしゃくりあげる智くんの頬には新たな涙の跡があって、



もしかしたら、聞いちゃいけないのかな?って思って、



ただ、



智くんの小さな体を抱きしめていた。





どれくらいそうしていたのか分からないけど、



静かになった智くんの顔を覗き込んでみた。



閉じられた目蓋を縁取る濡れた睫毛に胸が締め付けられる。





朝、目覚めた君に、


昨夜の涙の訳を聞いても多分、君は教えてくれないんだろうな?



いいんだ、それで。



明日の君が笑ってくれるんなら、



笑顔の君が隣にいてくれるなら、





すべてなかったことにできるから。


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