Sparkling!
第4章 キミのために…。
松本side
番組の収録も終わって、
朝、家を出るときと同じように、逃げるようにスタジオを早足で出ていこうとする雅紀を追いかける。
雅紀は走り寄る俺に気づいていないのか、
スタジオを出たところで意図も簡単に捕まえることが出来た。
「雅紀、ちょっと。」
俺は、雅紀の手首を掴むと、
楽屋からはさほど離れていない、いつも鍵の掛かっていない会議室へと連れていった。
「座って?」
雅紀はスタジオからここに来るまでの間、
強く掴まれた手首が痛い、とか、
どこへ連れていくのか、などと、
一切声を荒げたりすることなく、
黙って着いてきてくれた。
相「何なの?一体?」
不機嫌そうに手首を擦ると、落ちつかなげに周囲を見回す。
「覚えてる?ここ?」
相「うん……まあ。」
視線を落としたまま曖昧に返事をする雅紀。
以前、雅紀が収録中に大きな失敗をして、
収録が一時中断してしまい、
そのあとのスケジュール調整にマネージャーが奔走するという騒ぎがあった。
実際のところ、俺たちももっと雅紀をフォロー出来れば良かったんだけど、
あの時はそんな余裕なんてなかった。