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第28章 恋する二人の小さな旅 (S × O)



智side


「気持ちいいね…」


翔「そうだね?」



海の側の小さな旅館。窓から入ってくる風が気持ちいい。





去年のお正月、みんなで 温泉に行った時はメゾネットタイプで、露天風呂が付いてる部屋に泊まった。



あの時確か、翔ちゃん、のぼせちゃったんだよね?


思わず笑ってしまって、


翔ちゃんに変な顔されてしまった。



「ここは露天風呂、ってあるの?」


翔「うん…」



…あれ?



何だか、翔ちゃんの歯切れが悪い。



翔「…のさ、先、飯食わない?」


「えっ?まだお腹すいてないし…」


翔「あっ!?じゃあ、散歩する?」



窓から乗り出すように海を見ながら笑った。



「う…ん。」





4月と言えど、日も傾けばまだ肌寒い。



僕が少し身震いすると、

翔ちゃんは上着をかけてくれた。



「あ、ありがと。でも、いい。翔ちゃんが風邪引くといけないから。」


翔「運転手だからね?」

「それもあるけど…」



翔ちゃんに上着を返した。



翔「じゃあ、智くんが温めてくれんのかな?」


「えっ?」



一瞬、なんのことだか分からずにキョトンとしていると、



水平線に太陽の姿が消えたことを見計らったように、



翔ちゃんに抱きしめられた。

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