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夜が開けるまで

第4章 禁断の果実

「親父がずっと反対してたんだ。音楽なんかで食っていけないってね。

大学受験の時に約束した。音大に落ちたらすっぱり諦めるって、だから滑り止めで経済学部を受験したら、そっちが受かっちゃって…



音大行ってたら、ニューヨークにも留学したかったから、由紀さんには出会ってないよね」



由紀は拓馬の話に、若い頃の自分を思い出していた。





私も留学したかった。

でも、父に反対されたの。

女は結婚するだけだから、学問は身につけなくていい。

親の決めた男と家庭を持ち、子供を育てる。

それが女の幸せなのだと。



だから、私は家を出た。

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