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夜が開けるまで

第4章 禁断の果実


現実では、拓馬の営業成績は入社後の3ヶ月とは雲泥の差が生じていた。


営業日報も、顧客エリアを回っていないのは明らかだった。

「向井君、このままだと来月にはお給料に響くわ。

新規が取れなくても組み直しでも構わないから、エリアを丁寧に訪問してみて」




人のまばらな営業所内。

日報を提出し、帰り支度をする拓馬に由紀は言った。

「最近、仕事に身が入ってないようだけど…バンド、忙しいの?」


由紀の身透かすような瞳に、拓馬は一瞬身をひいた。


「いえ、何もないです。
お先に失礼します。」


拓馬は素っ気なく答えるとぺこりと頭を下げ、営業所を出て行った



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