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夜が開けるまで

第4章 禁断の果実

外交員は、耳打ちするように顔を近づけて小声で囁いた。



「東京から来て商売始めたらしいけど、ヤクザや政治家と繋がって、ハバをきかしてるんだって。
かなり、あこぎなことやってるって話よ」


このベテラン外交員の話に由紀は一瞬不安がよぎった。


街の放送局と陰で揶揄されるほどの情報網の持ち主の、この外交員の話はあながち噂だけではないはず。



拓馬と親密な関係だが、父親の話しは一切聞いたことがない。


しかしながら、拓馬の家庭がどこかギクシャクしているのは由紀もうすうす感じていた。


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