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夜が開けるまで

第5章 誤算


「田中さん、お久しぶりね。

ウチの息子がいつもお世話になっているようでありがとうございます。」


アイボリー色のスーツに身を包んだ拓馬の母親はそう言うと由紀の正面に立ち止まった。



拓馬の身長の高さは母親似なのか、スラリとした背の高い女性である。


「ご挨拶にも伺わず申し訳ありません。」

由紀は頭を下げた。


「どうか気になさらないで。
私ももしかしたら、この街を離れるかもしれないですから」

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