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夜が開けるまで

第6章 一人息子の告白

「お金、大変だと思うけど、やっぱり大学に行きたいんだ。」


翼はきっぱりと言った。

「奨学金とバイトもするつもりだけど、足りないところは援助してほしい」

「どこの大学に行きたいの」

「できれば公立を目指したいけど、私立なら推薦狙えるって先生が言ってくれてるから迷ってるよ」


由紀はしばらく考え込んだ。





二人の間に沈黙が流れた。










「あと、もう一つ、話したい事があるんだけど…」


翼は少し表情を曇らせ、言いにくそうに呟いた。




「なに?まとめて話してみて」

由紀は考え込んだまま、翼と目を合わせず口を開いた。







「父さん、ガンなんだ」

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