
夜が開けるまで
第6章 一人息子の告白
拓馬の密かな夢は、進路の選択で再び父と衝突する材料になった。
音大に現役合格したら、拓馬のやりたい道に進む。
不合格なら、父の会社の跡を継ぐことで、話しは決着した。
結局、希望の大学には進めなかったものの、大学進学とともに上京。
東京で学生生活を送りながら、密かにバンド活動を続け着実にファンを増やしていった。
しかし、学生のメンバーは就職活動で忙しくなり、次々に脱退していった。
拓馬もまわりと同じように就職活動をして証券会社に入社。
配属先は営業で、深夜帰りが続いた。
そして、半年で体を壊し、退職した。
