
夜が開けるまで
第1章 仮面夫婦
30歳になったばかりのある夏の日
由紀が家に戻ると、襖に見覚えのない写真が貼り付けられていたことがある。
コンパニオンのバイトの時に客と二人で撮影したらしく
由紀はブルーのチャイナドレス姿。
客の手は由紀の肩に回され、笑顔で映っている。
写真は客の顔の上に画鋲を刺し、貼り付けられていた。
「この男とヤったのか?」
襖のそばで横たわっていた夫は、鋭い視線を向けてきた。
「まさか。そんな事しないわ」
「俺以外、お前に触れることは許さない」
隆はそう言うといきなり妻を押し倒し、馬乗りになった。
