
夜が開けるまで
第6章 一人息子の告白
しんと静まり返った空間に、グラスにウィスキーを注ぐ音と氷が揺らめく音が響く。
れい子は、グラスを拓馬に差し出すと拓馬の真横に座った。
いつもとは違う、薄化粧をしたれい子の横顔は厚化粧の時よりも清楚に見えた。
女の素顔の美しさは、湯上りに滲み出るのか…
拓馬はふと、初めて由紀と出掛けたドライブの夜の事を思い出した。
バスタオルに身を包んで浴室から出てきた由紀の肌の美しさ
どんなに着飾っても化粧を施しても、誤魔化すことのできない
素肌から匂い立つような女の色気
拓馬が初めて、女性を美しいと感じた瞬間だった
最近、気まずくて彼女に連絡をしていない
やっぱり、会いたい
