
夜が開けるまで
第6章 一人息子の告白
れい子は拓馬の背後に回ると、ソファのへりに腰をかけた。
そして、拓馬の肩に手をのせると、ゆっくりと滑らせるように、鎖骨から胸元へとのばした。
「生き馬の目を抜く芸能界で生きていこうと思ったら、綺麗事は言ってられないの。
売り込みに、営業はつきものよ。あなたも保険の営業やってるのなら、わかるわよね…。
私はあなたにはいくらでもデビューのチャンスを提供してあげられるわ……」
れい子は拓馬の若く滑らかな肌と引き締まった肉体の感触を味わうかのように、ゆっくりと指先を動かした。
