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夜が開けるまで

第7章 葛藤

ある日、由紀のもとに一本の電話が入ってきた。






「田中さん、向井君のお父さんから電話よ」

外線を取り次いだ事務の女性が怪訝そうな声で由紀に伝えた。




由紀は緊張しながら、内線電話の受話器を取った。



「田中さん、だね」


落ち着いた、威厳のある低い声




「はい。私です」








「一度、君とゆっくり話をしたいんだが、どうですか」








由紀の脳裏を不安と、覚悟がよぎる。


「わかりました。
向井様のご都合にお任せします」






少しの沈黙が流れた。








拓馬の父は最後にこう付け加えた。






「この件、くれぐれも拓馬には内密にお願いしますよ」








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