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夜が開けるまで

第7章 葛藤


由紀は部屋のドアを二回、ノックした。


胸の高まりを感じて、動悸がしてくる。



拓馬の父親……一体どんな人物なのか。






ガチャリとドアが開き、中から中年の男が現れた。



白髪交じりだが、きちんと櫛が通ったオールバックのスタイル



細身の長身の拓馬とは似てもつかぬ、肩幅が広く胸板の厚い身体つき。


眼鏡の奥の鋭い瞳と、縦皺が刻まれた顔立ち。




人見知りのない爽やかな笑顔の拓馬とは正反対の風貌に、由紀は一瞬、面食らった。





「田中由紀さんだね。

さぁ、どうぞ、中にお入り下さい」









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