夜が開けるまで
第7章 葛藤
部屋の中は間接照明でぼんやりと照らされて落ち着いた雰囲気だ。
グレーを基調とした和モダン調の室内には3人掛けのソファと、リクライニングチェア。
主張しない大きさの円形のサイドテーブル。
壁で仕切られたベッドルームは灯りが消されている。
部屋の大きさからしても、スィートルームのようだ。
由紀は部屋の入り口に佇んだまま、部屋をちらりと見渡した。
「さぁ、中にお進み下さい」
武志は部屋の真ん中にたち、声をかけた。
「あまりにも素晴らしいお部屋で、足がすくんで動けないんです。」
ただならぬ予感が走った由紀は、武志と距離を置いた。