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夜が開けるまで

第7章 葛藤


「客人を招くのに窮屈な部屋では失礼でしょう。
ここなら、ゆっくりとお話ができると思いましてね」




仕立ての良さそうなジャケットにノーネクタイ姿の武志は、手を 広げて、由紀を部屋の奥にあるソファに腰掛けるように勧めた。




眉間に縦皺が刻まれた、世の中の非条理も生き通してきたかのよ うな鋭い瞳。




肩幅も広く、胸板の厚い身体。




武志の割腹のよい体型や顔つきから、細身で背の高い拓馬の面影はなかなか見出すのは難しかった。





腰を掛けるように勧める、武志の瞳の奥が光るのを由紀は見逃しはしなかった。



必ず魂胆があるに違いない…


由紀はこう切り返した。


「素晴らしいお部屋をご用意頂いて恐縮しております。
よろしければ、ラウンジで一杯お付き合い頂いた方が、わたくしも緊張がほぐれて、お話しができますが、如何でしょう?」








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