
夜が開けるまで
第2章 新人社員
歓迎会に参加した全員が、二次会のカラオケに流れてきた。
「え?6人しか入らないの?いいじゃないの〜、詰めれば入れるって!」
カラオケの店員と、幹事の由紀の静止を振り切り、10人全員が一室にがやがやと乱入していく。
そして、拓馬を真ん中に座らせると数人の外交員たちが密着しながら拓馬の隣に陣取り、マイクを奪い合う。
「さぁ、向井くん、何か唄って!」
「僕は最後でいいですから、先にどうぞ」
「遠慮は無用よ!ホラ!早く!」
おばさまの迫力にたじろぎながら、拓馬はあまり迷う事なく曲を入れた。
拓馬は、メンバーの年代に合わせたアップテンポの選曲でさっそく場を盛り上げる。
マイクの握り方
素人離れした声量
ハズすことなく透き通る、伸びやかな高音
なに…?
歌、上手すぎ……
由紀をはじめ、一同、呆気に取られ拓馬を見つめた。
