
夜が開けるまで
第2章 新人社員
「いやぁ、向井くんの成績、三ヶ月連続トップだね。
地区別でも、向井くんはダントツでねぇ、支社長も君には期待しているよ」
営業所内に貼られた外交員のノルマ達成グラフを眺めて、所長が満足げに呟いた
「ありがとうございます。田中トレーナーが丁寧に指導して頂いたおかげです」
まだスーツ姿が初々しく見える拓馬は、はにかんだ笑顔で由紀に顔を向けると、軽く頭を下げた。
「君のような優秀な社員が入ってくれて、私も鼻が高いよ。
ほんと、ありがとう!今日は私がお昼をご馳走しよう」
所長はそう言って拓馬の肩をポンっと叩いた。
