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夜が開けるまで

第2章 新人社員

紫陽花が咲き乱れ、長雨が続く頃


日が暮れて、街のあちらこちらから太鼓や笛の音が聞こえるようになると、街は祭りの準備で活気づいてくる。



七月の契約二倍月だというのに、拓馬は祭りの準備で18時には退社していた。


上司である由紀は、彼のフォローのために営業周りで残業を余儀無くされ、連日帰宅が9時を回っていた。




いつものように残業を終え、地下駐車場に降りて行った。車は一台しか残っていない。



由紀が車に乗り込もうとしたその時、





「ずいぶん遅くまで仕事してるんだな」




聞き覚えのある声が背後から聞こえた。








由紀の夫、隆だった。



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