
夜が開けるまで
第3章 真夏の夜の夢
会場の熱気に圧倒され、由紀も自然に踊り出しながら手拍子を打つ
今までに味わった事のない躍動感
ワクワクして、日常のストレスも忘れてしまいそうだ
何よりも、拓馬のボーカルに胸を撃ち抜かれたような衝撃を覚えた
グレーのタンクトップにレザーパンツが長身の拓馬によく似合う
伸びのある高音ボイス、迫力ある歌唱力
私の好きなアーティストに雰囲気もよく似ているし…
拓馬がステージから降りて観客席に紛れると、観客は一斉に拓馬を取り囲んで盛り上がる
由紀はその様子に圧倒されて、その場に佇んでいた。
