
夜が開けるまで
第3章 真夏の夜の夢
初めてのライブから一夜開けても、由紀の身体には熱気と臨場感がまとわりついていた。
目が覚めて、あれは現実なのか、夢なのか、正夢でも見たかのような感覚に囚われる。
今日は月曜日
また1週間頑張らなくちゃ
由紀は気持ちを切り替えようと、冷たい水で顔を洗うと身支度を整えた。
「おはようございます」
拓馬は何事もなかったかのように涼しい顔で出社してきた。
そして、由紀と目が合うと軽く会釈をして席についた。
由紀のメールの着信音が鳴った。
「昨日はライブ見に来てくれてありがとうございます。
本当に嬉しかった。大好きです♡」
デスクが向かいあいながら、メールしてくるなんて
由紀は目の前にいる拓馬を見る事なく、クスッと笑った。
