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夜が開けるまで

第3章 真夏の夜の夢


夜になり、海岸通りは祭りの見物客で賑わいを見せていた。

各町内会から趣向を凝らした山車や御輿が、お囃子の音や掛け声とともに次々と集まってくる。

通りは人の波と山車の行列でごった返し、熱気に包まれていた。


由紀は人混みをかき分け、最前列で見えるポイントを探しながら拓馬が乗っている木彫り装飾の山車を待っていた。


誰かを待ちわびるような胸の高まりに、由紀ははっきりと気がついた。


「会いたい」


拓馬の存在はいつの間にか彼女の中で大きくなっていた。


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