
夜が開けるまで
第3章 真夏の夜の夢
二人は暫く見つめあうと、ベンチに並んで腰をかけた。
「白ダボ、よく似合ってて素敵ね。
冷えると風邪ひくから、これで汗を拭いて」
拓馬の首筋に光る汗を見つけて、由紀はバッグからハンカチを取り出し、拓馬に差し出した。
身体にピッタリした真っ白な御輿の衣装が、
拓馬の細みの長身をより際立たせている。
毛先を立たせた艶のある黒髪に、
散らしたラメのスプレーが灯台の灯りが照らされるたび、キラキラ輝いた。
拓馬はハンカチを受け取ったまま、横に腰かけている由紀をただ、見つめ続けていた。
