
夜が開けるまで
第3章 真夏の夜の夢
何か自分は夢を見ているのではないだろうか。
ただ忙殺されていく毎日に、突如と現れた非日常の世界
祭りの喧騒から離れ2人だけで過ごした船上の情事
脳裏に焼きついて、離れない
静寂に包まれた夜のマリーナ
聞こえてくるのは岸壁に打ち寄せるさざ波の音だけ
満天の星空の下、波に揺らめくヨットの甲板で裸で抱き合う肌のぬくもり
まだ恐れも絶望も知らない若い男に抱かれる
とまどいと
かすかな期待
長身で、引き締まった腕の中に包まれて
時に力強く、でもまだぎこちなくて
じっとりと汗ばんだ皮膚の吸い付くような弾力
耳元で聞こえる、男の荒い息づかい
女の身体の中で脈を打つ火照った肉芯に
脳天を突き抜ける絶頂と
唇から漏れる快楽の吐息
覚めない夢の中をさまよっているに違いない。
