夜が開けるまで
第4章 禁断の果実
「さぁ、どうぞ、乗って下さい
初乗りは由紀さんと決めてました。」
拓馬は助手席のドアを開けて由紀がシートに座ったのを確認すると、優しくドアを閉めた。
革張りのシートは、柔らかな座り心地だ。
「向井君がこんな車買うなんて以外ね」
「大きいのが欲しかったんですよ。後ろのシート、ゆったりしてるし」
拓馬の返事からすぐ察しがついた。
「この車、3000万の価値ありますよ。」
「なぜ?」
「車買う代わりに、保険契約させましたから」
拓馬は笑いながら答えると車を発進させた。