非恋愛体質
第8章 恋のライバル
「あ、春先輩スッキリした?……服デカかったね。小さめの選んだつもりだったんだけど、思ってたより春先輩が小さかったわ(笑)」
ゲラゲラ笑う彼。
「小さくないもん。男と女じゃ体格差あるでしょ‼︎」
思わず口を尖らせて怒る私。
こんな風に言い合える男友達は片山君くらいしかいないだろうなと思う。
「それで、もしかして私って酔い潰れてお世話になってしまったんでしょうか…?」
ぶかぶかの俺の服を着て、上目遣いで聞いてくる春先輩。
わざとなわけ?
誘ってるとしか思えないんだけど。
やっぱりこの人男慣れしてなさすぎ。
俺じゃなきゃ襲われてるわ。
「そうだよ。大して飲めないくせにピッチあげるから、店で潰れたの。で、家の場所聞いても全然起きないから、仕方なく背負ってうちに泊めてあげたの。あー重かったなー。春先輩。」
チラッと彼女を見下ろすと、申し訳なさそうにこちらを見ていた。
「ほんとに迷惑かけてごめんなさい。しかも私の奢りって言ってたのにお会計もしてないよね⁉︎いくらだった?」
この人、そんなことまで気にしてたの?
「いいよ、俺の奢り。女に払わせる趣味ないし。」
「えっ?でも残業手伝ってくれて…」
「そんなのお互い様でしょ?春先輩と飲みたかっただけ。もうそれはいいから飯食おう。」