
非恋愛体質
第6章 春の過去
reafに着くとお店には美奈子さんの姿が見えた。
美奈子さんは私の姿を見つけると、どうしたの?と駆け寄ってきてくれた。
自分では気付かなかったが、頬に涙が流れていた。
「こっち座って。」
カウンター席に連れていかれ、温かいおしぼりを渡してくれる。
「美奈子さん、すみません…自分でもよくわからないんですけど、すごく胸が苦しくて…」
「誰か好きになった?」
「えっ?」
「誰かのこと考えて悩めるって凄いことじゃない?」
「春ちゃん、もう誰も好きにならないって前に話してくれたじゃない?」
コクンとうなづく。
「それはそれでいいと思うの。だって恋なんてしようと思ってするわけじゃなくて、気付いたらなってるものじゃない?
だからね、今春ちゃんが誰かのことを思って涙を流してるの、とっても素敵なことだと思う。」
「……でも怖いんです。大切な人ができることが。その人が同じ気持ちで思ってくれるのか。」
「それは、春ちゃん次第よ。誰かに好きって思われたいなら、まずは自分が自分のことを好きになってあげないと。そうすれば昔のことを乗り越えられるくらい、素敵な恋愛ができると思う。」
「どうしたらいいんですかね私…」
「女の子だからできることって沢山あるじゃない?好きな人の為にオシャレをしたり、髪型変えてみたり。春ちゃんはまずそこからね!」
「何もしてないのに諦めちゃダメよ?」
「はい…」
