テキストサイズ

非恋愛体質

第7章 蓮の事情




その日の夜はフラフラになるまで飲んだ。
俺も笑っていたかったから。
美奈子さんにおめでとうと感謝の気持ちを込めて。


そして俺は自分の思いを胸の奥底にしまいこんだ。



その後、卒論、就職先での面接等でバタバタしていて、自然とreafに行ける回数も減って行った。
行く時間帯も昼だったり夜だったりで順也さんとも話す機会が増えた。



今更知ったことだが、reafは昼営業と夜営業があるため、早番、遅番でシフトが組まれていたようで、基本的には遅番が順也さん、早番が美奈子さんらしい。


行ったときは美奈子さんがいる日もあれば順也さんがいる日もあって、知れば知るほど、やっぱ順也さんは温かい人で、兄貴みたいな存在になっていった。


順也さんも俺のことを蓮と呼び、くだらない話をして笑いあったり、ときには人生の先輩として相談にも乗ってもらった。


俺はこの2人が大好きで、幸せになってほしいって思っているのに…
心のどこかで美奈子さんへの思いを断ち切れない自分が嫌だった。


だから卒業式を終え、3月の人事移動希望を出すときに、俺はロス支店を希望した。
ロスに行くには日常英会話に加え、ビジネス英会話のスキルも求められた。
元々父親が外交官ということもあり、有る程度の英会話程度は話せたが、ビジネス英会話は年明けからもう勉強していた。


そしてトップの成績で僅か1枠だったロス支店に行く権利を得た。



これで美奈子さんへの気持ちを忘れられることができるような気がした。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ