
非恋愛体質
第7章 蓮の事情
出発前日、俺はreafを訪れた。
ちょうど仕事を終えた美奈子さんが店から出てくるところだった。
顔を上げ、俺の姿に気付いた美奈子さんは、太陽のような笑顔で手を振ってこちらに向かって走ってきた。
「久しぶりじゃない‼︎元気にしてたー?」
「まぁね。色々忙しくしてるけど。美奈子さんは元気?」
「もちろん!ねぇ、ちょっと歩かない?」
そう言って美奈子さんは歩きだす。
その後ろをゆっくりと歩いていく。
何を話すわけでもなく、時がゆっくりと流れていた。
公園に着くと、美奈子さんは1本の桜の木を見上げていた。
その木は大きくて、沢山の蕾を付けていた。
「もう春だね。満開になったらキレイだろうな。」
そよ風が吹き、少し伸びた美奈子さんの髪が揺れる。
それを抑えるように耳にかける姿があまりにも美しくて…俺は美奈子さんの手を引き腕の中に抱きしめた。
