【S】―エス―01
第8章 記憶の鍵
ベッドから上体を起こし、自分の両手を確認する。ぼんやりと映る両手は5歳のそれではなく、現在のものだった。
(夢……?)
昔のことを夢に見る、それだけならばよくあることだろう。だが夢にしてはやけに鮮明で、尚かつ感触などもリアルに感じられた。
――201X年 10月18日。
部屋の明かりをつけ枕元の目覚まし時計を見ると、時刻はすでに午前2時を回っていた。
妙に目が冴えてしまった為、ホットミルクを作り部屋へ戻る。
体の芯まで伝わる温かさに、張りつめた気持ちが解(ほぐ)れていくのが分かった。
軽い音を立て小さな木のテーブルにカップを置く。そしてベッドの上、夢と記憶の合間でしばしの間、独り膝を抱える。
(あれは、確かに夢だった。でも……)
茜は明かりを消し布団をかぶり直すと夢を見ないよう願う。やがて訪れた睡魔に、再び深い眠りに就いた。
**
(夢……?)
昔のことを夢に見る、それだけならばよくあることだろう。だが夢にしてはやけに鮮明で、尚かつ感触などもリアルに感じられた。
――201X年 10月18日。
部屋の明かりをつけ枕元の目覚まし時計を見ると、時刻はすでに午前2時を回っていた。
妙に目が冴えてしまった為、ホットミルクを作り部屋へ戻る。
体の芯まで伝わる温かさに、張りつめた気持ちが解(ほぐ)れていくのが分かった。
軽い音を立て小さな木のテーブルにカップを置く。そしてベッドの上、夢と記憶の合間でしばしの間、独り膝を抱える。
(あれは、確かに夢だった。でも……)
茜は明かりを消し布団をかぶり直すと夢を見ないよう願う。やがて訪れた睡魔に、再び深い眠りに就いた。
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