【S】―エス―01
第8章 記憶の鍵
◇2
同日、午後1時20分。
雲ひとつない秋晴れの好日。
瞬矢たちは、事前に調べておいたメモに書かれている場所へ向かう準備を始めていた。
準備といっても実質用意する物はほとんどなく、待ち合わせたという方が正しいだろう。
「お前さ、ほんとについて来る気か?」
瞬矢が窓に背中を預け訊ねると、茜は手を止め答える。
「もし今回の事件……ううん、10年前あったことに父が関わってたとしたら知りたいの」
一息つくと「それに……」と、更に一拍置き続ける。
「あの時、決めたじゃない」
ソファに置いてある深緑色のダウンを小脇に抱え、そう言って茜はにっこり気丈な笑顔を見せた。
「そうだったな」
瞬矢は思い出して参ったとばかりに苦笑し、手元に視線を落としながら相槌をうつ。その手には、件の腕時計とメモが握られていた。
茜の言った【あの時】、それは2ヶ月前。
同日、午後1時20分。
雲ひとつない秋晴れの好日。
瞬矢たちは、事前に調べておいたメモに書かれている場所へ向かう準備を始めていた。
準備といっても実質用意する物はほとんどなく、待ち合わせたという方が正しいだろう。
「お前さ、ほんとについて来る気か?」
瞬矢が窓に背中を預け訊ねると、茜は手を止め答える。
「もし今回の事件……ううん、10年前あったことに父が関わってたとしたら知りたいの」
一息つくと「それに……」と、更に一拍置き続ける。
「あの時、決めたじゃない」
ソファに置いてある深緑色のダウンを小脇に抱え、そう言って茜はにっこり気丈な笑顔を見せた。
「そうだったな」
瞬矢は思い出して参ったとばかりに苦笑し、手元に視線を落としながら相槌をうつ。その手には、件の腕時計とメモが握られていた。
茜の言った【あの時】、それは2ヶ月前。