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【S】―エス―01

第8章 記憶の鍵

 
「だからね、私も父のこと知りたいし、最後まで付き合うよ」


 圧倒され、瞬矢は頷く。すると数歩先でくるりと振り返り満面の笑みを見せ言う。


「決まりだね! さっそく調べなくちゃ!」


 燦々(さんさん)と降り注ぐ太陽が、笑顔の彼女を眩しく照らした。


 その笑顔に、瞬矢は目を細めるのだった。


 一旦戻った瞬矢たちは、パソコンでメモに書かれた場所を調べる。


 検索結果は何件かあり、その中から住所と該当するものにカーソルを合わす。


 『この屋敷の建てられた一帯は私有地であったが、建物は10年前に火事で焼失』とあった。


 屋敷の所有者は東雲 暁(しののめ あきら)――、茜の父親だ。


 さらに画面をスクロールすると、屋敷の外観を写した画像が表示された。


「あっ!」


 その瞬間、画像を見た茜が声を上げる。


「ここ、夢で見た……」


「本当か?」


 瞬矢が訊ねると、茜は頷き静かに答える。


「間違いないよ。この木……」


 もしや、本当に六野の言葉どおり全てがこの場所にあるのではないか、そう思えた。


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