
【S】―エス―01
第8章 記憶の鍵
見れば文字盤の横にあるランプが赤く点滅し、ぱっと青に変わる。
同時に地面の土が隆起したかと思うと、コンクリートのオートロックドアのようなものがせり上がる。
四角く切り取られた部分からは、地下に続く暗い階段が姿を現す。
地面にぽっかりと開いた空間に広がる闇が「こちらへおいで」と手をこまねく。
そう。それはまるで、瞬矢たちの来訪を待っていたかのように。
ひんやりとした空気に混じり、黴(かび)臭さも相まってか地下へと続く階段は不気味な雰囲気を醸し出していた。
だが、この先へ行けば知ることができる。【S】が示唆するもの、10年前に繋がる真実――。
「兎に角、行ってみよう」
初めて見る気がしない階段に初めは怯むも、思い切って足を踏み入れる。
地下へと続く通路は人が行き交えるほどの幅で、側面のコンクリート壁は無機質にひんやりとしていた。
中ほどまで下りた時、左腕に違和感を覚える。見ると茜がジャケットの上から左腕をしっかり掴んでいた。
「……オィ」
自分でも分かるくらい怪訝な声だ。茜は、はっとした表情で「ごめん」そう言いするりと掴んでいた手を離す。
同時に地面の土が隆起したかと思うと、コンクリートのオートロックドアのようなものがせり上がる。
四角く切り取られた部分からは、地下に続く暗い階段が姿を現す。
地面にぽっかりと開いた空間に広がる闇が「こちらへおいで」と手をこまねく。
そう。それはまるで、瞬矢たちの来訪を待っていたかのように。
ひんやりとした空気に混じり、黴(かび)臭さも相まってか地下へと続く階段は不気味な雰囲気を醸し出していた。
だが、この先へ行けば知ることができる。【S】が示唆するもの、10年前に繋がる真実――。
「兎に角、行ってみよう」
初めて見る気がしない階段に初めは怯むも、思い切って足を踏み入れる。
地下へと続く通路は人が行き交えるほどの幅で、側面のコンクリート壁は無機質にひんやりとしていた。
中ほどまで下りた時、左腕に違和感を覚える。見ると茜がジャケットの上から左腕をしっかり掴んでいた。
「……オィ」
自分でも分かるくらい怪訝な声だ。茜は、はっとした表情で「ごめん」そう言いするりと掴んでいた手を離す。
