
【S】―エス―01
第8章 記憶の鍵
左奥へ進むと朽ちた椅子があり、肘掛けと足首の部分には自由を制限する革製の拘束ベルトが備わっていた。
その椅子にも壁同様に血痕が付着し、この場所で何かがあったことを容易に想像させる。
ひゅう、と入り口から風が吹き込む。肌に感じる風の流れで、それがどこか別の場所へ抜けているのが分かった。
(……隙間風?)
ぐるりと反対側を見渡すと、突き当たりの壁にもうひとつ先ほどと同じような金属製のドアが見受けられた。
どうも、ここ地下のドアは全てオートロックになっているようだ。鍵となっている部分に文字盤を翳してみる。
耳を劈(つんざ)く高々とした警告音。
『――認証コードヲ、入力シテ下サイ』
同時になんとも単調な機械音声が誘導する。
どうやら、このドアを開けるには認証コードなるものが必要らしい。
「そう何度も上手くはいかない……か」
独り言のように呟いて瞬矢は俯き苦笑する。
「瞬矢、これ……」
茜の声に、意識は再び後方へ向く。
鍵はあれど、認証コードが分からなければどうしようもない。瞬矢は目の前のそのドアを諦め、茜の方へと踵を返す。
その椅子にも壁同様に血痕が付着し、この場所で何かがあったことを容易に想像させる。
ひゅう、と入り口から風が吹き込む。肌に感じる風の流れで、それがどこか別の場所へ抜けているのが分かった。
(……隙間風?)
ぐるりと反対側を見渡すと、突き当たりの壁にもうひとつ先ほどと同じような金属製のドアが見受けられた。
どうも、ここ地下のドアは全てオートロックになっているようだ。鍵となっている部分に文字盤を翳してみる。
耳を劈(つんざ)く高々とした警告音。
『――認証コードヲ、入力シテ下サイ』
同時になんとも単調な機械音声が誘導する。
どうやら、このドアを開けるには認証コードなるものが必要らしい。
「そう何度も上手くはいかない……か」
独り言のように呟いて瞬矢は俯き苦笑する。
「瞬矢、これ……」
茜の声に、意識は再び後方へ向く。
鍵はあれど、認証コードが分からなければどうしようもない。瞬矢は目の前のそのドアを諦め、茜の方へと踵を返す。
