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【S】―エス―01

第9章 刹那

 やがてモニターの波形はフラットになり、同時に痙攣を繰り返す体もぱったり動きを止めた。


 ステレオから流れる音楽と雨音の合間を縫って、絶えずモニターから発せられる一定の高音が、殺風景な屋内に耳鳴りの如く響き渡る。


 今も微かに潤いを残す彼の眼(まなこ)。刹那はその瞼を自らの掌でそっと閉じ、しばし佇む。


「後は任せて……。ゆっくり、おやすみ」


 静かに語りかけると、いまだ単調な高音を発し続けるモニターの電源をぷつりと切った。




 

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