【S】―エス―01
第10章 化け物
――
そしてその日付は確かに今日だった。
満たされない空きっ腹に、わずかに残っていたコーヒーを流し込む。煙草をくゆらせ、そのほとんどを一気に味わう。
「やれやれ」
感嘆混じりな言葉と共に、肺一杯に吸い込んだ紫煙を吐く。
(顔くらい出してやるか)
吸い終えた煙草の火を灰皿に押し付けて消す。同時に茜の顔がよぎり、ふっと一笑に伏すと共に重い腰を上げる。
**
目的地は、2駅離れた場所にあった。
車での移動ならばすぐの距離だろう。だが駐車が面倒という理由もあり、結局電車で行くことにした。
途中で見かけた電光掲示板のテロップには、オレンジ色の文字で『櫻井 陸が拘置所内で自殺。事件の真相は不明のまま――』と流れる。
「櫻井――、消されたか?」
瞬矢はオレンジ色のテロップを目視し、頭に浮かんだ台詞をそのまま呟く。だが、その考えはすぐさま別の考察によって打ち消される。
(いや、奴は自分の意思で行動していると言ってたな。なら、自殺というのも何かを隠す為……)
電光掲示板から目を逸らし、再び駅に向かって歩きだす。
そしてその日付は確かに今日だった。
満たされない空きっ腹に、わずかに残っていたコーヒーを流し込む。煙草をくゆらせ、そのほとんどを一気に味わう。
「やれやれ」
感嘆混じりな言葉と共に、肺一杯に吸い込んだ紫煙を吐く。
(顔くらい出してやるか)
吸い終えた煙草の火を灰皿に押し付けて消す。同時に茜の顔がよぎり、ふっと一笑に伏すと共に重い腰を上げる。
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目的地は、2駅離れた場所にあった。
車での移動ならばすぐの距離だろう。だが駐車が面倒という理由もあり、結局電車で行くことにした。
途中で見かけた電光掲示板のテロップには、オレンジ色の文字で『櫻井 陸が拘置所内で自殺。事件の真相は不明のまま――』と流れる。
「櫻井――、消されたか?」
瞬矢はオレンジ色のテロップを目視し、頭に浮かんだ台詞をそのまま呟く。だが、その考えはすぐさま別の考察によって打ち消される。
(いや、奴は自分の意思で行動していると言ってたな。なら、自殺というのも何かを隠す為……)
電光掲示板から目を逸らし、再び駅に向かって歩きだす。